【記事連載】コンセプトアートからプリビズまで ― プリプロダクションの可視化を深める

はじめに

GUNCY’S(株式会社グンシーズ)が手がける、Unreal Engine 5 や Houdini を駆使したプロシージャル・ワークフローによるオリジナル映像制作。その過程を紹介するCGWORLD連載の第3回(後編)は、前回までに紹介されたプリプロダクションをさらに具体化するステップにフォーカスしています。

今回の記事では、「コンセプトアート」「3D仮モデル」「アセット準備」「カラースクリプト」「プリビズ」 といった可視化プロセスが詳しく解説されています。


コンセプトアート ― 世界観を形にする指針

  • 物語の全体像を視覚的に示すガイドラインとして、コンセプトアートを制作。
  • 「大正期の繁栄した洋館」と「現代の廃墟となった洋館」という両面を描き分けることで、作品の世界観をより広く表現。

3D仮モデルでの検証

  • コンセプトアーティストが簡易3Dモデルを作成し、建物内部の構造や動線、光の入り方、家具配置などを立体的に検証。
  • 実際の空間を想定した確認作業により、アート表現と設計の整合性を早期に確保。

アセットリストと命名規則の整備

  • プリビズ制作に備えて必要なアセットをリスト化。
  • 命名規則や仕様を明確にすることで、後の制作段階での混乱や手戻りを防止。

カラースクリプト ― 色で物語をデザイン

  • シーンごとの色調や全体のトーンを整理する「カラースクリプト」を導入。
  • Shotdeckなどのツールを活用して映像作品の配色を研究し、作品の統一感とリアリティを強化。
  • カメラ配置済みの絵コンテや3Dモデルをもとに、監督が場面ごとの色の方向性を決定。

プリビズ(Pre-Visualization)の役割

  • Maya、Houdini、Unreal Engineを用いて、仮モデルやカメラワーク、仮音声を組み合わせたプリビズ動画を制作。
  • シルエットやスケール感、演出テンポを事前に確認できるため、監督やスタッフ間での共通認識を形成。
  • プロシージャル制作により通常よりも高精度なプリビズが実現。

まとめ

今回の記事では、プリプロダクションの「可視化」を担うステップが体系的に解説されました。

  • コンセプトアートで世界観の方向性を示す
  • 3D仮モデルで空間構造や演出を検証
  • アセット整備で制作基盤を固める
  • カラースクリプトで色彩設計を統一
  • プリビズで映像全体を先取りし、認識を共有

これらを通じて、制作フェーズに進む前に「全員の共通理解」を強固にすることができ、結果として作品の品質と効率性を高めています。


次回予告

次回は、いよいよ本制作フェーズへ。プロシージャルワークフローを駆使し、少人数で効率的にハイクオリティな映像を作り上げるプロセスが紹介される予定です。


👉 記事全文はこちらからご覧いただけます:
CGWORLD 連載 第3回(後編)「プロシージャルフロー×UE5で挑む映像制作」