はじめに
この回では、素材(マテリアル)とテクスチャの使い方を中心に、質感表現をどのように設計・制作して映像のリアリティを高めるかが解説されています。プロシージャルワークフローの中で、マテリアル表現にかける手間と工夫のバランスをとるポイントも紹介されていると思われます。
マテリアル設計の基本方針
- ベース素材、反射(Specular/Roughness)、法線マップ(Normal Map)、金属感/非金属の表現を意識して設計。
- アルベド(Diffuse)テクスチャの色味と照明条件の相性を確認し、色温度や光のあたり方で見栄えが大きく変わる点に注意。
テクスチャのワークフローと最適化
- テクスチャ解像度を用途に応じて使い分け(キャラクター/プロップ/背景など)し、無駄に高解像度にしないことでメモリ・描画負荷を抑える。
- タイルテクスチャやトリムテクスチャを使ってリピートパターンを効率的に表現する方法。プロシージャル用のテクスチャノードなどを組み込むと編集性が向上。
プロシージャルマテリアルの活用例
- ノードベースマテリアル(Unreal Engine のマテリアルブループリントやマテリアルエディタ)を使ってマスクを掛けたり、層構造で汚れや経年変化を表現する。
- 汚れ・摩耗・ひび割れなどのエフェクトをプロシージャルに重ねて、個別のオブジェクトごとに変化をもたせることで見た目のバリエーションを持たせる。
照明とマテリアルの組み合わせ調整
- テクスチャとマテリアルを照明条件下でテストし、影/反射/濡れた質感などの見え方を確認。特にスペキュラー反射や粗さ(Roughness)の調整は、マテリアルの質感を左右する。
- 環境マップや反射キャプチャを用いてリアルな反射と輝きを表現する。
最適化とパフォーマンス上の配慮
- 動的なマテリアル/シェーダーの使い過ぎは描画負荷になるため、必要な部分のみ適用。LOD(Level of Detail)なども活用。
- テクスチャ圧縮、マテリアルの統合(マテリアルインスタンスや共有マテリアルの利用)などで効率化を図る。
まとめ
- 質感表現(マテリアル+テクスチャ)は映像の印象を大きく左右するため、丁寧な設計と検証が必要。
- プロシージャルな表現と手作業での調整の両方を取り入れることで、効率とクオリティを両立できる。
- 最終的にはレンダリング環境での見え方を重視し、テストと修正を繰り返すことが重要。
次回予告
次回はビジュアルエフェクトやパーティクル・煙・霧などの環境演出系の追加に焦点を当てる予定です。
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プロシージャルフロー×UE5で挑む映像制作 第6回