はじめに
株式会社 GUNCY’S による MotionBuilder チュートリアルシリーズの第8回。前回までで、モデルデータとモーションデータのキャラクタライズ、リターゲットとその調整を行いました。今回はその成果を「プロット(Plot)」操作を通じて、モデルの動きをちゃんと“キー”として保存する工程を解説します。
プロットとは何か?
- リターゲットされたモデルには動きを受け渡す “元” はありますが、キー情報が入っていないため、モーションデータが無くなると模型が動かなくなる状態です。プロット操作によって、動作が “キー情報” としてモデルに付き、モデル自身が動くようになります。つまり “ベイクする” 操作に相当します。
- 例えるなら、 “役者によって演じられていた着ぐるみ” に “役者(モーション)の魂を宿す” 感覚。
プロットの手順
- シーンファイルを開く
前回リターゲットと補正を適用済みのファイル(例:Kaya_retarget.fbx
)を開きます。 - コントロールリグへプロット
- Character > Motion を選択し、Character Settings タブ内で Control Rig をプロット先に指定。
Plot
ボタンをクリック → ダイアログで FK/IK の設定を選択 → コントロールリグにキーが打たれます。
- コントロールリグとは何か
- コントロールリグは、キャラクタ化されたボーンに対するハンドル的な補助オブジェクトで、IK やハンドル操作で動かせるため、モデル修正が容易になります。
- コントロールリグから Skeleton へプロット
- コントロールリグにキーが設定された後、これを Skeleton (モデルの本来の骨構造) にプロットできます。操作としては、Character の Input Source をコントロールリグ、プロット先を Skeleton に設定して、Plot → Skeleton を選びます。
- キーを入れる際、Translation(移動)や回転情報などオプションがあるため、必要な設定を確認すること。
注意点/ティップス
- FPS/Plot Rate の一致確認:Transport Controls での再生速度 (FPS) と Plot 時の Plot Rate が一致しているかを確認しないと時間軸でズレが出る可能性あり。
- コントロールリグ作成前の準備:Character が対象モデルであるかどうか、Character Definition の設定が完了しているかを確認してから操作。
- コントロールリグは後でモーション修正をする際に便利なので、プロット先として経由しておくのが推奨される方法。直接 Skeleton にプロットすることも可能ですが、調整性が落ちることがあります。
まとめ
- プロット操作によって、モデルがモーションの動きを “持続的に再現できる” 状態になる。これが “ベイク” の核心。
- コントロールリグを経由することで修正や調整がしやすく、Skeleton へキーを入れる操作で最終形に持っていける。
- 操作時には FPS や Plot Rate 等、時間・設定周りの整合性を確認することが大切。
次回予告
次回は、「モデルに小道具を持たせる方法」について詳しく解説されます。剣やマイク、その他持たせるオブジェクトを手からずれないようにするセットアップ方法など、モーションキャプチャー&キャラクター制作において実用的な内容です。
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Zenn 〖MotionBuilderチュートリアル〗第8回 ~モーションをモデルへ移す~