はじめに
本連載の第12回では、モーションキャプチャーデータに含まれるノイズをいかに検出し、修正するかについて解説しています。モーションデータでよくある不自然な動きや「カクつき」が発生する原因と対策を学ぶ内容です。
ノイズとは何か
- モーションキャプチャーデータでは、毎フレームにキーがあたる形式で記録されることが多く、収録機器の誤差などで「小刻みな不規則な揺れ」や「極端なボーン角度の逸脱」が生じることがあります。これが「ノイズ」です。
- FCurves(アニメーションカーブ)で動きを再生してみると、カーブの中に棘のような突出が見受けられ、不自然さを感じる部分が該当します。
Filter を使ってノイズを修正する手順
- 前回までの手順で作成されたファイル(例 “Kaya_constraint.fbx”)を開く。
- コントロールリグにモーションをプロットしてキーフレームが打たれていることを確認。
- 「Filters」タブを使って、修正したいボーン(腰回りなど)を選択。Translation/Rotation プロパティに着目。
- Filter の種類として “Butterworth”“Smooth”“Key Reducing” などを使い分ける。
- 修正範囲(Start/Stop フレーム)を指定し、Preview で動きを確認した後 Accept で適用。
- 修正後のファイルを “Kaya_Filter” 等の名前で保存。
Filter の種類と使い分け
- Smooth:カーブを平均化して波立ちを抑える。揺れを大きく抑えたい場合に有効。
- Butterworth:ノイズを除去しつつ、モーションの極端な動きやピークは維持できる。モーションらしさを保つ際に便利。
- Key Reducing:不要なキーフレームを除去してデータを軽くする。精度 vs データ量のバランスを調整可能。
注意点/ポイント
- ノイズ修正を行う際は「親子構造」を考慮し、腰など親のボーンだけでなくその子の階層も含めて範囲指定すること。片方だけ直すと、他で揺れが見えることがあります。
- Filter 適用前に動きを再生し、どのフレームに不自然さがあるかを目視で確認すること。
- Preview → Accept の流れをきちんと確認する。保存前に結果を確認してから確定することが重要。
まとめ
- モーションキャプチャーデータにはノイズが潜んでおり、フィルタを使ってカーブを滑らかにすることで視覚的・体感的な違和感を減らすことができる。
- Filter の種類を正しく使い分けることで、自然さと滑らかさのバランスが取れるモーション編集が可能となる。
- データ保存時は修正のバージョン管理を心がけ、あとで差分を比較できるようにしておくと安心。
次回予告
次回は「オフセット編集(Animation Layer を使った補正)」について解説される予定です。モーションの細かい動きや姿勢の補正が中心となる見込みです。
👉 記事全文はこちら:
〖MotionBuilderチュートリアル〗第12回 ~ノイズ除去、フィルタについて~